私は、平日休みを取って不倫旅行のフィードバックを受けるため探偵事務所を訪れていました。
「お久しぶりです。雨の中わざわざすみませんね。」
「いえ。こちらこそ、先日はお盆なのに調査ありがとうございました。やっぱり主人は女と2人で旅行行ってたんですね。」
「おっしゃる通りです。では早速ですが、映像をお見せしますね。」
そう言って徐にビデオカメラを取り出す探偵さん。
そこには
彼女を迎えに部屋へ入っていく旦那の様子、
2人で車に乗っている様子、
2人でコンビニで買い物する様子、
2人で喫煙する様子、
2人で高速道路のSAで仮眠する様子、
旅行先で手を繋いで散歩する様子、
そしてホテルに入っていく様子・・・
「うわぁ、ばっちり撮れてますね。」(感心)
「そうですね。不倫旅行の証拠としては十分だといます。」
「わかりました。ありがとうございます。」
「その後、ご主人はどんな様子ですか?」
「・・・あの、私つい不倫のこと言ってしまいました。」
「えっ!ご主人は何と?」
「意外にあっさり認めました。笑」
「そうですか!!それで、今後はどうされるんですか?」
「うーん。。。それが、主人も離婚したくないって言うくせに、話合いのすぐ2日後から相変わらず彼女の家に行ってるんです。」
「しかもお風呂に入って帰って来た日すらあります。」
「2日後から!?全く反省してないですね・・・」
「はい。。。あの、もし仮になんですけど、離婚することになった場合って今までの証拠で相手の女から慰謝料取れますか?」
「うーん、難しい質問ですね。実際、不貞行為の回数が多ければ多いに越したことはありません。」
「強いて言えば、もう1回以上泊まりの証拠が取れるとかなり良いと思いますが、もう精神的にお辛いと思いますので無理はしなくて良いです。」
「わかりました。調査するかどうかちょっと考えさせてください。」
「はい、怪しい時はいつでも連絡して下さい。」
「あとですね、マンションはどうするんですか?そこちゃんとしないと厄介なことになりますよ。」
私は、主人の不倫行為にばかりやきもきしており、つい大事なことを忘れていました。
そう、今住んでいるマンションが、半年前に共同名義でローンを組んだばかりの持ち家だということを。
「すみません。何も考えてませんでした。。。」
「そうでしたか。でも、離婚ってなるとそこが一番大事ですよ!下手すれば一生借金まみれも同然です。最優先でちゃんと話し合って決めるべき内容です。」
「はあ、離婚ってそういうことなんですね。自分で聞いといてあれですけど、やっぱり離婚はしたくないです。笑」
「まあそうですよね。。。とにかく、ご自身で納得いくようにしてくださいね。」
「すみません。長々とありがとうございました。」
探偵事務所からの帰り道、将来への不安が襲ってきます。
情があるから離婚はしたくない。
けど、夫は不倫を辞めてくれないし、これから子供ができるかだって分からないのが現状。
いっそ離婚してしまった方がお互いの為なのでは?
いやー、無理無理無理無理!
・・・はっ!私が離婚したくない理由って、情とか言いつつ実はお金が心配なだけなのでは???
自分で自分が分からなくなりました。
この日はもう料理作る気皆無だったので、刺身用のサクを買って帰りました。
米を炊き、刺身を盛りつけ、主人の好きな梨を剥く。
そうして私はストロングチューハイを飲みながら「離婚 住宅ローン 共同名義」とかでひたすらネット検索していました。
世の中には離婚後もそのまま家に住み続ける人もいれば、任意売却(この時初めて知った言葉)する人、競売にかける人など、色々な事例があることを知りました。
私は、離婚するなら絶対住みたくないし、きれいさっぱり売り払いたいと思いました。
そうこうしていると、こんな日に限ってやたら早くGPSが動き出しました。
超超珍しく、ほぼ定時ぴったりに車が動き始めました。
そして、車が向かった先は、
郊外のラブホテルでした。
そしてきっかり2時間停車した後、車が動き出しました。その後彼女を家まで送り届け、主人は何食わぬ顔で帰ってきました。
部屋に入って来た主人に対し、私は開口一番に言いました。
「おかえり。やっぱり離婚しよう。」
「どうしてそういうこと言うの?離婚はしないって言ったじゃん。」
いよいよ正気の沙汰じゃないなと思いました。